【求人情報】森の劇場・亀田の森の継承〜cafe GROVE（富津市）

千葉県富津市のJR佐貫町駅から車で5分ほど。

醤油蔵や精肉店、一杯飲み屋など代々続く街並みを抜け、踏切を渡り田園風景へ。





森の番人の方々にご挨拶をし、細い山道を奥へ奥へ。



通称「亀田の森」に今春オープンした「cafe GROVE」。こちらが今回の募集です。

以前の記事 でオープン前の試食会にご招待頂いた際のことをお伝えしましたが、
オープンから3ヶ月ほど、おかげさまで近隣遠方問わず多くのお客様にご来店頂いているとのことで、
更にお客様がくつろげる空間、スタッフが楽しみながら働ける環境を目指して
新たにスタッフを増員採用することになりました。



店主の濱本智之さん。

飲食業界で長く経験を積み、故郷富津市のご実家の敷地内に念願だった空間をつくりました。

「もともと、学生の頃から料理に興味はありましたが、
親の影響（お父様が演劇の美術分野のお仕事、お母様が日本画家）もありまして
造形大学に進むことにしたんです。
家具等のインテリアなどは特に面白かったし、そういったデザインの勉強をすることが主でした」

はじめから料理をしていたわけではなかった、とのこと。

「他にも自転車が大好きで、今でも自転車はチームに入って乗っているくらいなんですけど、
実業団に所属してプロを目指していた時期もありました。
さすがに、そのくらいのレベルになるとついていくのが大変で、身体を使う仕事というのは難しいな、と思って
見切りをつけたんですけどね」

そこから料理の世界に飛び込んでいくいきさつ、というのは…

「社会人になりたての頃、知人に誘われて店舗立ち上げの話に乗っかったことがあります。
すごく面白そうだなと思って。でも今振り返ってみると準備不足だったんでしょうね。
ものの見事に失敗しました（笑）」

若者の特権のような失敗ですね（笑）

「で、やっぱり修行が必要だなと考えて、手打ちうどんのチェーン店にアルバイトから入社しました。
ただ、チェーン店といっても当時はまだ手作業の部分も多くて、システム化されていない中で
多くの仕事をこなしていく形だったので非常に大変でした。
大変だったのですが、システマチックにできるところはしていくという経験もできましたし、
なによりスタッフのマネジメント経験を多く積めました。
最終的には店長というキャリアを11年やらせて頂いて、
お店を育てていく、という流れを非常に高いレベルで学べたと思います」



そもそも昔からご実家の環境でカフェをやりたい、と考えていたのでしょうか。

「まったく考えていなかったですね。これはあくまで感覚ですけど、
今の駐車場がある部分の土地を使ってもいいよ、という話がきたんです。その時にピンときたというか。
あそこは以前民家があって畑もあって、という別の方が暮らしていた場所なんです。
駐車場のど真ん中に井戸があるのは何故だろう、と思う方もいるかもしれませんが、
あれはあそこに民家があったからなんです」



そこから構想がいろいろ湧いてきたということですね。

「もちろん幼い頃からの想いもありました。
このカフェがある敷地は「亀田の森」と呼ばれていて、両親の作品を展示するギャラリーがあったり、
父が演劇関係の仕事をしていた頃、「ここで稽古やったら面白いんじゃない」って話が上がったらしくて」



森で稽古、ですか。

「都心は稽古場がなかなか無いんですよ。じゃあせっかく稽古するんだし、
街の人も呼んで観てもらったらどう、ということで街の方々に観ていただいたんですけど、これが非常に好評で。
ちょうど土地の形状がすり鉢状になっていて、国技館のようなとても良い雰囲気だったんです。
そこから1年に1日〜3日ほど行う、という定期開催の形になりました。
残念ながら今は当時のスタッフの皆さんがご高齢になられたということで森の劇場はやっていませんが」


確かに、友人知人の中には「子供の頃来たことがある！」とテンション上がる人がいます。
そういうことなんですね。

「子供の頃からそういった人の集まる場所で育って、人との直接的な出会いや関わりが増えていく中で、
食やデザインに興味が湧いたという流れがあります。そうなると飲食業が良いのではと自然に考え、
一昨年の12月くらいから実家に店をやりたいという相談を始め、
珈琲の修行はkusaさん、メニュー開発は郷里さん、扉などのインテリアはDEWさんなど、
様々な方のご協力を頂きました。
大工さんにはいろいろな相談をしまして、穴蔵といいますか、森に溶け込むイメージで。
あまり木を切らずにこの森を活かして開放感を出すといったような。
いろいろ我侭だったのですが、おかげさまで良い場所をつくれたと思います」



どんな人と一緒に仕事をしたい、という想いはありますか？

「人と接する事が好きな方ですね。やはりこの仕事はそれが基本ですし一番大事だと思います。
森のイベントやギャラリーのご案内をすることもありますので。
飲食業の経験を積んでいくと、人のために自然と身体が動く人になっていきます。
そういったレベルを目指して、まずは人と接することが好きな方に来ていただきたいなと思っています」



「まだまだ始まったばかりの店ですし、やりながら覚えていくというのが基本です。
そういった意味では新しいことや挑戦することが好きな人に来ていただいて、
積極的に提案していってほしいという想いもあります。
珈琲の淹れ方も身につきますし、将来ご自身でカフェをやりたい、という方は
その足がかりにしていただければ」



お店を始めたからわかること、というのもあるんじゃないかと思うのですが…

「正直なところ、今、ようやく楽しめているような気がしています（笑）
開店してすぐということもあったと思いますけど、色々考えることが多くて、
せっかくこんな素晴らしい環境をつくったんだから、あれもやらなきゃこれもやらなきゃといった具合で。
頭が痛くなったり、腰が痛くなったり、とか。
ほんとはもっと流れに任せていきたいと思うんですけどね」

自分で事業を立ち上げる時ならではの楽しさと難しさですね…

「そういう状況を助けてくれているのが今いるスタッフさん達だと思いますし、
あらたまって言う機会もなかなか無いんですけど、とても感謝しています。
ですから、自分も今いるスタッフさんに恩返ししながらといいますか、
協力して、分担して、良い店にしていきたいし、
大変なこともあるけど、それ以上にやりがいのある場所として、選んでもらえたらと思います」



このお店を通じて成したいことを聞いてみた。

「富津市は年々人口が減っています。これからは個々のつながりが大切だと思います。
住んでいる地域やご近所との関わり方を個々が考え始めると、外から見ると魅力につながると感じますし、
そういった場所として、この店を使っていただければと思います。
さっきの亀田の森のお話に戻りますが、
育った地域で人が集まる空間をつくりたい。人が喜ぶ顔が好き。根底はこれです。
店をつくり、かつて森の劇場を観にいらしていた世代の方々が再び足を運んで応援してくれていることで、
「森の復活」を少しずつ感じています。
地元の方がコーヒーを飲みに来たり、農家のおばあちゃんがお茶を飲みに来たり、
区長会議でご年配の方々に使っていただいたり、遠方からファミリーで来ていただいたり。
そんな多様な流れの中で、地域への貢献、亀田の森の復活の一部になれたらと思います」



また、現在GROVEでは「森の小屋展」という展示会を開催していて、
敷地内のあらゆる場所、ちょっと探してみないとわからないような場所にまで
アーティストさんの作品を展示している。



こんな場所にも。どうやら海の近くのようです。詳しい場所はご自身で。

「自分が両親や両親と関わってくれた方が盛り上げてくれたこの場所を引き継いで使わせてもらっているように、
もし、自分がいなくなっても、ここをイメージできる人がこの場所を引き継いで、使ってくれればいいなと。
今はその準備期間ですし、そのためにも多くのお客様に来ていただければと思っています」

世代を超えて愛される仕事、してみませんか。